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劇団鳥獣戯画『三人でシェイクスピア』@池袋シアターグリーン

劇団鳥獣戯画『三人でシェイクスピア』@池袋シアターグリーン_e0208346_214212100.jpg我ながらシブい2010年の観劇の締めくくり方だと思う。
12月28日の夜、劇団鳥獣戯画の『三人でシェイクスピア』を観に池袋へ。
シアターグリーンというかなり小規模な芝居小屋だ。
2010年中最後の観劇となった。

『三人でシェイクスピア』THE Compleate Works of William Shakespeare (abridged)
作:  Jess Winfield, Adam Long & Daniel Singer
訳:  小田島雄志・長谷川仰子
演出: 知念正文
出演: 石丸有里子(劇団鳥獣戯画)、知念正文(劇団鳥獣戯画)、赤星昇一郎

シェークスピア作品研究をコツコツ細々と続けており、今年の締めはシェイクスピア作品にしようと決めていた。たまたまチラシで鳥獣戯画の本公演のことを知り観劇することに。
本作品、原作はアメリカの3人の俳優によって作られたというもので、3人の俳優によってシェイクスピア全37作品を次々と演じて行くというふれこみだった。
一つの公演で全37作品を演じていくということについては、かなりの無謀さを感じたが、シェイクスピア作品群のハイライトを鳥瞰図的に眺めることができれば、それも面白かろうと思った。

そして感想。
う~ん。イマイチ、という感じだ。
90分間で、37作品をざっとさらっていくというのは、アイデアとしては奇抜で面白いのだが、やはり無理があるかなと。喜劇16作品を一幕でまとめるというのも凄過ぎ。いくつかの作品については、最も有名なセリフ一言で済ませられたり。
また、一生懸命本作品を演じていた役者の方々にも、残念ながらそれ程の魅力は感じなかった。
鳥獣戯画というのはそこそこ名の知られた劇団だったと思ったが。
座長である知念氏の演技にも石丸氏の演技にも、客演の赤星氏の演技に対しても、特筆すべき印象は得られなかった。

また、私が本公演について特に気まずく感じたことが一つある。
いわゆる観客参加型とも言える形式だったことだ。
より正確に言えば、観客参加型というよりも、観客参加させられ型と言えるものだった。
私は個人的に、素人の観客を舞台に上げてちょっとした台詞を言わせたり、ちょっとしたアクションをとらせたりと言った形式の芝居は好きでない。
15名程度の観客しかいなかったせいもあり、運悪く私にも白羽の矢が当たってしまい、ただし、舞台に引きずり込まれることは幸いにして起こらず、席に座ったまま右隣の観客と一緒にある短い台詞を言う羽目になったのだが。。。苦笑いを禁じ得なかった瞬間だ。
あくまでも個人的な意見だが、このような形式は、小中高生相手の芝居や学芸会での芝居などには一体感の醸成のために有効な手段となり得るが、客から金を取っての芝居向きではないと思う。
もしそのような形式の公演とするのであれば、観客にもある程度の覚悟をさせるべく、チラシ等で事前告知すべきだ。(そのような告知をすれば、客の数は減るかもしれないが)現に、某劇団では、若手劇団員によるある公演のチラシにて、客にも芝居に参加してもらう旨の但し書き入れるという形で事前告知をちゃんとやっている。少なくともそれぐらいの心遣いが必要なのではなかろうか。
いずれにせよ、観客参加型という芝居に対しては、どうしても私はアンフェアな印象を持たざるを得ない。その理由は、本心はどうあれ、上演の真っ最中に舞台上の役者からあれこれしてくれと迫られると、観客としては断るのは実質とても困難だからである。とても断れないような状況に観客は追い込まれていて、そのような状況の中で、あれこれ頼まれる。もちろん徹底的に突っぱねることも可能だが、上演中そんな無粋なことをできる観客がどの程度いるだろうか。まして自らの意思で観に来た芝居の中で。これはフェアではない。従って、観客参加型の形式を考える劇団はその旨事前告知をし、観客に心構えを請うべきだ。
昔の天井桟敷なら話はまだ分かるが。(天井桟敷のような劇団であれば、突然観客にフラれることがあったとしても、なるほどこの劇団ならそういうことも有り得るという、ある種の納得感がある)
且つ、天井桟敷であれば、あのような無粋な観客の参加のさせ方をさせないだろう。
舞台に引っ張り出された、女性観客一名。自らが望んだわけでもないのに、舞台中央に立たされ、「キャー」と叫ばざるを得なかったあの観客。恥ずかしさからか、その腰の引けた立ち姿が妙に無様で、私は憐みの一瞥をくれるとすぐに視線をあらぬ方向へ投げざるを得なかった。あまりにも彼女の姿が哀れで滑稽に見えてしまい、とても正視するに耐えなかったからだ。

個人的不満が多かった本公演であるが、この劇団について凄いと思ったことは、本作品で200公演を達成しているという事実。これはスゴイ。正に継続は力なりかと。
それだけ多くの観客に受け入れられているということなのであろう。
が、しかし、残念ながら、私の琴線に触れることの全くなかった公演だった。
200円で販売していたパンフレットには、シェイクスピア研究の足しになる情報があり、好印象をもったのだが。。。
by gf777 | 2010-12-28 23:09 | 演劇


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